2018年9月1日刊行
本体価格2300円 + 税
ハードカバー・四六判 本体396頁
ISBN: 978-4-907188-26-9

震災から七年、復興は地域の衰退を加速しただけだった──。

希望を奪い、コミュニティを分断する公共投資。原発をめぐる空回りする議論。賛成と反対、敵と味方に引き裂かれた日本で、異なる価値観が交わる「潮目」をいかにして作り出すのか。

福島県いわき市在住のアクティビストが辿り着いたのは、食、芸術、観光によって人と人をつなぐ、足下からの「地域づくり」だった。
「課題先進地区・浜通り」から全国に問う、新たなる復興のビジョン。柳美里氏、後藤正文氏、志賀忠重氏推薦。図版多数収録。



撮影=鈴木禎司

小松理虔(こまつ・りけん)


1979年いわき市小名浜生まれ。ローカルアクティビスト。いわき市小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を主宰しつつ、いわき海洋調べ隊「うみラボ」では、有志とともに定期的に福島第一原発沖の海洋調査を開催。そのほか、フリーランスの立場で地域の食や医療、福祉など、さまざまな分野の企画や情報発信に携わる。『ゲンロンβ』に、本書の下敷きとなった「浜通り通信」を50回にわたって連載。共著本に『常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム』(河出書房新社)、『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)ほか。


本書は、福島県いわき市で震災と原発事故を経験し、食や地域づくり、福島からの発信に関わるなかで、震災復興の「現実のリアリティ」の壁の高さを痛感してきた私が、そこから逃避するように重ねてきた実践と思考をまとめた本です。「食べる/食べない」「賛成/反対」など、容易に議論が二分化し、当事者性や党派性が持ち込まれ、語ることが年々面倒になる一方、その周縁で圧倒的な風化が進んできた福島。この地で、いかに空間的・時間的な「外部」を取り戻すべきか。そして、絶望と希望、そのどちらからも距離を置いて地域と関わることは可能なのか。実践を通じて見えてきた「“批評的“地域づくり」の道を探りました。

「復興なんて中退してしまえばいい!」

小松理虔は、「復興」という大車輪で「被災地」の掛け替えのないものが踏み荒らされていく様を、論理と実証によって明るみに出し、復興からの転回と再出発への道筋を試行(思想)する。

小松が理想とするのは、異なる意見を持つ他者を排除して「仲間同士」で濃縮するのではなく、積極的に異と他を招き入れ、食や祭や芸術によって共歓する場を創り出す地域社会である。

いままさに、転流時である。

『新復興論』を読んで、潮目を見定めてほしい。

——柳美里氏(作家)


あらゆる分断を乗り越えるための等身大のケーススタディ。

僕らに必要なのは、ボーダーを行き来する思考の旅だ。

——後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)


原発事故があって真剣に未来を考えるようになった気がする。

この本は、娘や息子たちに伝えたいことが満載だ。

——志賀忠重氏(いわき万本桜プロジェクト)


当事者しか語るべきでないという「当事者語り」を解き放ち、多くの人を地域に巻き込み、地域と地域外、現世代と将来世代に新たなコミュニケーションの回路を創ること。

困難を受け入れた上で愚直に抗い続けることでしか災害による膨大な喪失、軋轢や分断は乗り越えられないのだ。

——関谷直也氏(東京大学准教授)[朝日新聞・9月1日朝刊読書面より]


漁師でも農家でも、飲食店のあるじでもなく、よその街から取材しに来たわけでもない、という小松さんの立場と揺れる心を包み隠さず、きれいごとを廃そうとする姿勢が、その土地の食べものについての言をストレートなものにしている。

——木村衣有子氏(文筆家)[『サンデー毎日』10月21日号より]

2019.1.23

[イベント]ゲンロンカフェ- 「『新復興論』刊行記念イベント#4」江尻浩二郎 × 黒瀬陽平 × 小松理虔


申込方法など詳細は後日発表いたします。

2018.12.1

[イベント]フルハウス- 「『新復興論』刊行記念イベント#3」柳美里 × 小松理虔


フルハウスさん主催のイベントが、福島県南相馬市のLa MaMa ODAKAで行われます。

詳細

2018.11.7

[イベント]ほとがく- 「死者・仏教・観光―ポスト『新復興論』をめぐる冒険―」小松理虔 × 師茂樹 × 秋田光軌 × 陸奥賢


ほとがく(会津 ほとけの学校)さん主催のイベントが、福島県の会津稽古堂で行われます。

詳細

2018.10.14

[新聞]東京新聞 - インタビュー


朝刊読書面の「書く人」にて、著者のインタビューが掲載されました。

詳細

2018.10.13

[読書会]ソーシャルディア - 『新復興論』読書会@コモンルーム中津 貸会議室②


ソーシャルディアさん主催の読書会が、大阪市北区のコモンルーム中津で行われました。

詳細

2018.10.9

[雑誌]サンデー毎日 - 書評


『サンデー毎日』10月21日号に、文筆家の木村衣有子さんによる書評が掲載されました。

詳細

2018.10.7

[新聞]共同通信 - 書評


共同通信配信記事(信濃毎日新聞10月7日号ほか)に、社会学者の山下祐介さんによる書評が掲載されました。

2018.10.6

[雑誌]新潮 - 書評


『新潮』11月号に、作家の古川日出男さんによる書評が掲載されました。

詳細

2018.10.3

[イベント]ゲンロンカフェ- 「復興と巡礼 ──『新復興論』から東北学へ」赤坂憲雄 × 小松理虔 司会 = 石戸諭


本書の刊行記念イベントがゲンロンカフェで行われました。

詳細

2018.10.2

[Web]東洋経済オンライン - 寄稿


「震災復興に必要なのは、『ふまじめ』な思想だ」というタイトルで著者が寄稿しました。

詳細

2018.10.2

[Web]講談社現代ビジネス - インタビュー


ノンフィクションライター・石戸諭さんによる著者のインタビューが公開されました。

詳細

2018.9.21

[イベント]SHOKU SHOKU FUKUSHIMA - 新復興論 出版記念 小松理虔さんといわきの旨い魚と酒を楽しもうナイト


著者の出版記念スナックがSHOKU SHOKU FUKUSHIMAで行われました。

詳細

2018.9.19

[新聞]朝日新聞 - 本の紹介


夕刊文化芸能面で、『新復興論』および同書の刊行記念イベントの記事が掲載されました。

詳細

2018.9.14

[イベント]青山ブックセンター - 「価値観の潮目を作り出すために」小松理虔 × 三根かよこトークイベント


社会文芸誌『たたみかた』の編集長・三根かよこさんと著者のトークイベントが青山ブックセンターで行われました。

詳細

2018.9.5

[Web]CINRA.NET - 本の紹介


「今週の編集部まとめ」ページにて、本書が紹介されました。

詳細

2018.9.1

[新聞]朝日新聞 - 本の紹介/関谷直也


朝刊読書面で、関谷直也さんに震災後読むべき書籍として取り上げていただきました。

詳細

2018.8.31

[イベント]ゲンロンカフェ - 「小松理虔『新復興論』先行販売特別イベント──ゲンロン叢書第一弾」


出版を記念して、著者の単独トークイベントがゲンロンカフェで行われました。

詳細

2018.8.27

[ニコ生]津田ブロマガeXtreme- インタビュー


「ローカルアクティビストが語る『文化的復興』とは」というタイトルで著者が出演、本書が紹介されました。

詳細

2018.8.27

[ラジオ]J-WAVE「JAM THE WORLD」 - インタビュー


「UP CLOSE」コーナーに著者が出演、本書が紹介されました。

詳細

本書「はじめに」より

 様々な議論が二極化する福島において、「観光」という概念は、より重要性を増しているように思う。観光は、より遠くにいる人たちを切り捨てない。ふまじめな人、物見遊山の人、勘違いしている人や、もしかしたら偏見を持っている人すらも切り捨てることはない。賛成/反対、食べる/食べない、帰る/帰らない、県内/県外、支持/不支持、様々に二極化される福島だからこそ、外部を切り捨てない観光という概念は、今、もう一度再起動されるべきだと私は感じている。

(……)

 観光は常に外部へ扉を開く。同じように、思想もまた外部を切り捨てない。一〇〇年後、二〇〇年後を考え、「今ここ」を離れて思考が膨らんでいくものだ。地域づくりもまた、そうあるべきではないだろうか。ソトモノやワカモノ、未来の子どもたち、つまり外部を切り捨ててはいけない。今ここに暮らしている当事者の声のみで、地域をつくってはならないのだ。

 私がこの浜通りで見てきたものは、現場における思想の不在であった。一〇〇年先の未来を想像することなく、現実のリアリティに縛り付けられ、小さな議論に終始し、当事者以外の声に耳を傾けようとしない。いつの間にか防潮堤ができ、かつての町は、うず高くかさ上げされた土の下に埋められてしまった。復興の名の下に里山が削られ、ふるさとの人たちは「二度目の喪失」に対峙している。被災地復興は、いわば「外部を切り捨てた復興」でもあったのだ。これから地域づくりに関わる人は、こんなことを繰り返してはいけない。歴史を紐解き、批評的な視座を地域に持ち込み、一〇〇年、二〇〇年先を見据えながら、それでもなお地域の人たちと、泥臭く、膝と膝を突き合わせて、楽しく地域の未来を考えて欲しい。

(……)

 現場に関わる私たちは、だからこそ一旦小さな利害を離れ、自分たちの現在位置を探るために、先人たちや知識人たちの膨大な知に触れながら、未来に向けて自らの羅針盤を修正していかなければならないのではないだろうか。本書は、まさにそのような、思想と地域、思想と現場を行き来する人たちのためにこそ書かれる。

※2018/08/29現在



リスト掲載の書店には、取寄せのみを行っており店頭在庫のない場合があります。
その場合は書店員様に「トランスビュー取扱い」とお伝えいただき、ご注文ください。

書店員のみなさまへ


ゲンロンの商品は、トランスビューの取扱で納品いたします。ご注文の際は、以下までお電話またはFAXをお願いいたします。

Tel: 03-3664-7334 Fax: 0120-999-968

 

直接取引の条件は、トランスビューの商品とすべて同じ(随時返品可)です。取次ルートの場合は、八木書店経由(買切・返品不可)となります。トランスビューとのお取引がないお店からのご注文の際は、弊社からご連絡いたします。ご注文は1冊からお気軽にどうぞ。


『新復興論』注文FAX


メディアのみなさまへ


小松理虔さんへの取材依頼など、その他のお問い合わせはinfo@genron.co.jpまでご連絡ください。(担当:横山宏介)


正誤表


書籍中に、以下の間違いがございました。お詫びして訂正いたします。下記に掲載のない誤植を発見された際は、お手数ですがinfo@genron.co.jpまでお知らせください。


『新復興論』正誤表


株式会社ゲンロン


〒141-0031 東京都品川区西五反田1-16-6 イルモンドビル2F
Tel: 03-6417-9230 Fax: 03-6417-9231